どうも!「見習いキャンパー」のヒトシです。
今回はコールマンのワンマントルランタン286Aの分解メンテナンスに挑戦したいと思います。
このランタンは2012年製の「コールマン ワンマントルランタン286A」です。私が独身の頃に購入し、つい最近まで我が家のメインランタンとしてフル稼働してきましたが、前回のキャンプ時に大炎上させてしまい・・その後なんとなく放置していました。
というのも、最近は「ルーメナー」などのコンパクトで明るいLEDランタンがあるので、ガソリンランタンって面倒だなと思い始めていたんですよね。
いろいろ悩みましたが、やっぱりガソリンランタンのオレンジ色の柔らかい光と独特の燃焼音が作り出す雰囲気がキャンプの醍醐味だ!という個人的な結論に至り、今回メンテナンスに挑戦することにしました。
コールマン ワンマントルランタン 286Aとは
世界のキャンプサイドを照らし続け、確固たる信頼をつくりあげてきた最もベーシックなロングセラーモデル
- 明るさ:約200CP/130W相当
- 燃料タンク容量:約590cc
- 燃焼時間:約7.5-15時間
- 本体サイズ:約φ16×31(h)cm
- 重量:約1.4kg
コールマン286A今の状態は?
現在の「 コールマン286A 」の状態というと、ポンピングして圧力をかけると、「ジェネレーターの付け根」と「カラーと燃料タンクの境目付近」、「ポンプノブの穴」からホワイトガソリンが漏れているのか、点火すると中から外から炎上する状態です。炎上した時はバルブを閉めても鎮火せず、このまま爆発するのかと本当に焦った記憶があります。
メンテナンスには事前準備が大切
メンテナンスに入る前に「コールマンのメンテナンスブック」やコールマンのHPを見て、最低限の構造的知識をインプットしました。また、メンテナンスに必要な工具も揃えました。
ただ今回は初めての分解メンテナンスということで、可能な限り少予算(部品は再利用)でどこまで直せるのかにもチャレンジしたいと思います。
▼コールマンメンテナンスハンドブックこれがあると安心です。コールマンのホームページからダウンロード(PDF)することができます。
▼使用した工具
- スーパーレンチ
- リュブリカント(専用潤滑油)
- チェックバルブレンチ
- ポンプカップ
- マントル
- キャブクリーナー
コールマン286Aのメンテナンス
ポンプカップの状態を確認
軽くポンピング操作を行って、ポンプノブの抵抗感をチェックします。ポンプカップが乾燥していたり、摩耗や破損していると隙間から空気が漏れて燃料タンク内に圧力がかかりません。乾燥しているだけなら、リュブリカント(ポンプカップ専用の特殊オイル)を2~3滴注入すれば改善するようです。ポンプカップが摩耗や破損していると、リュブリカントを注入しても効果がないので、ポンプカップの交換をする必要があります。
さっそくチェックしていきましょう。
ポンプノブを前後に動かしてみると、少しひっかかるような抵抗を感じます。ポンピングを繰り返すとタンク内に圧力はかかっているので、ポンプカップ自体の破損はなさそうです。
では、実際にポンプカップの状態を目視でチェックしてみます。
スーパーレンチを使用して、ポンプキャップを左に回転させて緩めます。
ポンプキャップが緩んだら、次にポンプブランジャー一式を抜き取ります。
この黒いリング状のゴムがポンプカップです。定期的にリュブリカントを点していたのでポンプカップにひび割れや破損はありませんでした。ゴムの部分が破損していると燃料タンク内に空気を送り込むことができませんので、異常があればポンプカップを交換しましょう。今回は異常が見られなかったので交換せずにそのまま使いたいと思います。
次にエアーステムの点検をおこないます。
この穴の中から覗いている金色の棒がエアーステムです。エアーステムの先端にはネジ溝があり、チェックバルブと繋がっているので無理に引っ張らないようにしましょう。
ここを持ってクルクルと反時計回りに回します。
左側の真鍮製の棒がエアーステムです。ここではエアーステムに曲がりが発生していないか確認します。ポンプノブを真っ直ぐに押し込まず、斜めにポンピングをした場合、エアーステムが曲がることがあります。もし曲がっていたらプライヤーなどで曲がりを直すか、「エアーステム&チェックバルブ一式」を交換しましょう。
チェックバルブのメンテナンス
チェックバルブの点検
通常通りポンピングした後にポンプノブを左に回した「OPEN」の状態でライターなどの火をポンプノブの穴に近づけてみます。もしチェックバルブに異常があると、ポンプカップの穴から燃料が漏れるのでライターのように穴から炎が出ます。異常があった場合、チェックバルブを取り外してメンテナンスをおこないます。私のも炎が噴き出してましたよ。。
(出典:”いざ“というとき役に立つ ガソリン燃焼器具 メンテナンスハンドブック)
エアーステムを抜き取ると穴の奥に見えるマイナスのネジみたいなものがチェックバルブです。取り外す前にタンク内の空気は抜いておきます。
そしてここからが重要です。チェックバルブを取り外すには専用工具「チェックバルブレンチ」を使用しましょう。見た感じマイナスドライバーでも外せそうな気がしますけど、チェックバルブの駆動部(ドライバーを差し込む+-の穴)は浅く横に広いので、チェックバルブレンチじゃないと駆動部をなめる可能性が高いです。しかもチェックバルブは真鍮製で柔らかい素材のため、チェックバルブレンチを使う時も慎重に作業しましょう。
注意:チェックバルブレンチを使用しないで、マイナスドライバーなどで無理に緩めようとすると、ネジ山を潰して修理不能になります。
チェックバルブレンチです。先端はマイナスドライバーのような形状をしています。かなり大きくて重たいアメリカンな工具です。ちなみにチェックバルブレンチにはUSモデル(今回使用)とカナダモデルがあるので、使用しているランタンに合わせて使い分けをしてください。先端の形状が若干違うようです。値段は上がりますが、どちらのモデルも使える社外品のチェックバルブレンチもあります。値は張りますが、コールマンのランタンを複数持ってる方にはそちらの方がおすすめです。
チェックバルブレンチを穴に差し込み、ネジ山を合わせます。かなりキツく閉まっているので、ネジ山をなめないように強く押し込みながら慎重に左(反時計回り)に回します。初めて外す場合は特に硬いので、ランタン本体が動かないようにタンク部分を足で挟んで作業してください。
なんとかネジ山をなめることなく取り外すことができました。チェックバルブには古いリュブリカントがべったり・・
反対側にはボールベアリングが入っています。このボールベアリングが前後に動くことで空気や燃料の逆流を防ぎます。いわゆる弁の役割を果たします。このボールベアリングが油汚れなどにより固着したり、ゴミや砂などが入り込むと空気圧がかからない、もしくはタンク内で気化した燃料が逆流してポンプカップの穴から炎が噴き出したりします。
チェックバルブのボールベアリング側を口にくわえて、息を吹き込んで空気が通らなければ正常ですが、空気が通るようであればボールベアリングに異常があります。チェックバルブの交換か洗浄をおこないましょう。
実際に試してみると空気が少し通ったのでチェックバルブの洗浄をおこないました。
チェックバルブの洗浄
やり方は簡単。ペットボトルにコールマン純正ホワイトガソリンを少し入れて、そこにチェックバルブを浸すだけ。私はボールベアリングまわりに付着した汚れを取りたかったのでペットボトルのフタを締めてしばらくシェイク。
あっという間にすごい量の汚れがペットボトルの底に溜まりました・・・これでは燃料も逆流しますよね。その後、1時間ほど放置して取り出します。
ベタついていた油汚れも落ちてピカピカになりました。ボールベアリング側から息を吹き込んでも空気が通らなかったので大丈夫でしょう。きっとボールベアリングに付着したゴミや汚れが動きを悪くしていたんだと思います。これで治らなければ部品交換するしかないですね。
ジェネレーターのメンテナンス
ジェネレーターの点検
点火しにくい、完全燃焼しない、いつもより火力が弱い、火力調整ができない。そんな時はジェネレーターを点検しましょう。私の「 コールマン286A 」も点火はするものの、光が息継ぎをするように点滅し非常に不安定な状態です。
まずはボールナットを緩めて、ベンチレーターを外します。
同じくガラスグローブも外します。
次にヒートシールド(マントルの熱からバルブ本体を守るパーツ)を取り外します。
スーパーレンチを使ってフレームナットを緩めます。
フレームナットの下にあるUクリップを取り外します。
バーナーアッシーを上に抜き取ります。
スーパーレンチを使ってジャムナットを緩めます。
ジャムナットを外したらジェネレーターを持ち上げ、クリーニングロッドを外します。
クリーニングロッドのフックがエキセントリックブロックの穴に引っ掛けてあります。フックが穴から外れない場合は燃料バルブを「OFF」側に回すと、エキセントリックブロックが上に上がりますので、取り外しやすくなります。
これがジェネレーターです。いわゆる気化装置ですね。ポンピングで燃料タンク内に空気圧を加えると圧力のかかった燃料と空気が混合されてジェネレーター内に押し出されます。そしてジェネレーター内部を通る燃料がバーナーやマントルの燃える熱で熱せられることで気化ガソリンとなり、マントルに送り込まれ光を放ちます。ただ、このジェネレーターも使っているうちに、ススがたまり目詰まりを起こしたり、気化能力が落ち、引いては光量が出なくなったり、光が一定でなくなるのです。
点火しにくい。完全燃焼しない。いつもより火力が弱い。火力調整ができない。こんな症状がある場合はジェネレーターの交換で直ることがほとんどのようです。本来ジェネレーターは消耗品なので、常時持っていた方がいいパーツになります。
ただ、今回はランタンの構造を知ることも目的の一つとしているので、再利用でどこまで回復するのかやってみたいと思います。(もちろん自己責任ですww)
ジェネレーターのクリーニング
分かりづらいのですが、クリーニングロッド先端部の針の部分にススが固着しています。ここもあとで綺麗にしますが、もし針が曲がっているようだと交換になるので注意してください。
ジェネレーターの洗浄には「キャブクリーナー」を使用します。ジェネレーターの内外に固着した頑固な汚れを強力に洗浄してくれます。ちなみにキャブクリーナーはホームセンターで400円ぐらいで販売してます。
ジェネレーターをキャブクリーナー液のプールに1時間ほど浸します。もし菅の外側の錆や黒ずみが気になる場合は、サンドペーパーで優しく擦り綺麗にしてくださいね。
この時にクリーニングロッド先端部の針を曲げないように注意しましょう。
今回はクリーニングロッドのみ磨きました。針の先端もピカピカになりましたよ。
ポイント:ジェネレーターを長持ちさせるコツ
消化前に燃料バルブの「ON ⇔ OFF」を素早く2~3回往復させると、ジェネレーター内のクリーニングロッドが上下します。これによりジェネレーター先端の小さな穴が掃除され、ススが溜まりにくくなります。
そしてなにより大切なことは、コールマン純正のホワイトガソリン「エコクリーン」を使用することです。エコクリーンは燃焼効率が高いだけでなく、ジェネレーター内の洗浄力も高く、目詰まりを防いでくれるようです。
バルブステムの増し締め
通常は燃料が漏れることはありませんが、ナットの締め付けが緩いとバルブから燃料が漏れることがあります。緩みがないか定期的にチェックして緩みがあれば増し締めをおこないましょう。
まずフレームボトムを抜き取ります。小さな虫がいっぱい付いてますね・・
次に燃料バルブのツマミ(正式名称はキグセンツマミ)を外します。全面にあるネジをプラスドライバーで緩めます。
ツマミを外した状態です。
カラーを取り外すとバルブステムが見えてきました。大量の虫の死骸も・・・
虫の死骸を綺麗に取り除いたら、本題のバルブステムの増し締めをおこないます。スーパーレンチを使用してゆっくり増し締めしましたが、やはり少し緩んでいましたね。たぶん大炎上の原因はここにあったと思います。もし増し締めをしても燃料漏れが治らなければ、バルブ一式をコールマンのサービスセンターで交換する必要があるようです。
あと、心配していたのがここ。バルブ本体と燃料タンクの接続部分です。接続部分はシール材で固定されていて簡単には燃料が漏れないようになっていますが、シール材が古くなると隙間から燃料が漏れることがあるようです。念のためタンクに圧力をかけた後、中性洗剤を垂らして圧力漏れをチェックしましたが、幸いここからの漏れはないようです。
メンテナンスが完了したら組み立て
清掃、メンテナンスが終わったらバラした逆の順番で組み立てていきます。分からなくなったら写真を参考にしてみてくださいね。そのために今回は写真多めにしてあります。(半分は自分用の備忘録ですww)
ジェネレーターの取り付けにはコツがある
少しコツがいるジェネレーターの取り付け方法は載せておきます。
まず、燃料バルブを「OFF」にします。するとエキセントリックブロックの穴が顔を出すので、その穴にクリーニングロッドを引っかけます。
次に、燃料バルブを「HIGH」へ回し、エキセントリックブロックを下げます。そうするとクリーニングロッドの針を折らずに取り付けることができます。その後はジェネレーター本体をゆっくり下ろしてジャムナットで固定してください。
あとは、ポンプカップにリュブリカントを忘れず塗りましょう。
組み上げた後に、ポンプキャップの「OIL」と表示のある穴から注入してもいいですが、ポンプカップに直接塗った方が確実です。そもそも説明書にある穴から2~3滴注入するのはけっこう難しいです。
マントル取り付け
マントルのカラヤキ
最後にマントルを取り付け、カラヤキをおこないます。カラヤキとは点火する前に燃料を出さない状態で燃やし、灰状にすることを言います。
バーナーチューブ先端の溝に取り付けて、紐を引いてマントルを固定します。ここで重要なのは紐は固結びではなく『二重の仮結び』で結ぶことのようです。次にマントルにシワが寄らないように膨らませて整えたら、最後に余った紐を切り取ります。
ここからがカラヤキです。マントルの下部からライターで火をつけてまんべんなく燃やします。マントルの全てが白く灰状になったらカラヤキは終了です。カラヤキするとマントルは小さく縮み、少しでも触れると簡単に破れるほど脆い状態なので取り扱いには注意しましょう。
カラヤキが終わったら、ドキドキの燃焼試験です。さすがに自宅内で大炎上すると洒落にならないので外に移動しました。
ドキドキの燃焼試験
バルブを少し開けると『シュルシュル』とガソリンが霧状に出る音がします。そのあとにバルブを一気に開けます。点火のポイントは先にライターの火をつけて、そのあとにバルブを開けることです。
点火した一瞬、ボッと燃え上がりましたが、すぐに落ち着いてきました。
最近はベンチレーターとガラスグローブを外した状態で点火しています。これだと炎上してもベンチレーターとガラスグローブが煤だらけになることを防げます。また、生ガスがガラスグローブ内に溜まった状態で点火すると小爆発を起こしてホヤに穴が空くこともありますが、それらも防ぐことができます。
コールマン286A完全復活!
もう一度ポンピングをしてあげると炎が更に安定して綺麗に光りはじめました。もちろんバルブ周りから燃料が漏れランタン全体が炎に包まれることもなく、シュゴーっと独特のいい音を鳴らして周りを明るく照らしてくれています。「 コールマン286A 」の完全復活です♪
先日、久しぶりに行ったキャンプでも大活躍。やっぱりガソリンランタンのオレンジ色の炎は癒されますね。改めて惚れ直しました。
まとめ
コールマン286Aは構造がシンプルなので、一度分解して仕組みが分かると、ちょっとしたトラブルにも落ち着いて対応することができます。そしてなにより愛着が湧きますよね。メンテナンスを怠らなければコールマンのガソリンランタンは半永久的に使えるそうなので、これからも楽しみながら大切にイジり倒したいと思います。
では、また!
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今回ご紹介したキャンプギア